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  • 執筆者の写真寺西 祐介

10年後の君たちのために

更新日:2021年6月16日


 

※以下の文章は私が8年前に書いたものです。まだ指導者としての経験もなく、また文章も稚拙なところが目立ちます。ですが、新たに与野で塾を一から始めようと思った今(2021年6月)、初心を思い出すため、そして忘れないために読み返しました。

 



先月、生まれて初めて自分の人生に関わった人が亡くなった。

中学生の頃に通っていた塾の塾長。

正確な年齢はわからないけどたぶん50代くらいやったんやろか、あまりにも早すぎる。

中学1年の夏頃から卒業するまでの2年半ほどお世話になったけど「塾長」としか呼んでなかったから、名前は知らない。

おれは今、良い暮らしをしていると思う。

元を辿っていくと、それは良い大学に入ったおかげであり、良い高校に入れたおかげであり、中学生の頃に勉強ができたおかげ、いや、できるようになったおかげやと思う。

おれみたいに地頭がそんなによくなくてもやればできるってことを、勉強する習慣を、与えてくれたのは間違いなく北野セミナーであり、塾長やった。

塾長は当時のおれからしたらめちゃめちゃ怖かった。

普段は優しいけど宿題をしてこなかったりすると容赦なく強烈なビンタをおみまいされる。 今に比べたらそうでもないかもしれないけど、おれが中学生の頃も体罰はよくないって言われる時代やったから今考えるとすごい塾やったのかもしらん。 そんだけ一生懸命接してくれてたんやろう。そんだけ生徒を愛してたんやろう。

おれもその愛を一回だけもらったことがある。

小学生のころは外で遊ぶのが好きで特に勉強が得意だったわけじゃなかったけど真面目だったと思うし、人を楽しませるのが好きだったから時にはおちゃらけたりもした。

謎を解き明かすのが好きだったから、世の中で一番謎が多いところはどこか?っていうのを考えたら古代遺跡でもなく深海でもなく「宇宙」っていう結論に至り、その頃の夢はNASAで働くことだった。

卒業式の時に将来の夢を言う場面があって、その時は「サッカーの日本代表になりたいです!」って言ってたけどね。それでも宇宙への想いは強く、大学では物理学を専攻するまでに至った。 卒業論文は「相対性理論とブラックホール」って大層な課題に取り組んだけど、正直ほとんど理解できなかったね。 むしろ学部生で一般相対性理論を理解できたらそっちの道に進んだ方がええと思うわ。

結局、サラリーマンとして働くことになり早5年目。 このままでいいのか?って内定もらってからずっと悩んでた。そしてようやく決心がついた。 年末年始に実家に帰った時に親にはその決心を伝えた。

最後の断捨離は「安定」。

会社辞めます。サラリーマンはおれの性には合わねーわ! 安定を捨てるとか格好良い風なことを言ったものの、自分の好きなことをやるために辞めるんやからそんなの当たり前の話やわな。 本気で決断してやりたいことに取り組んでる人なんていくらでもおる。 やっとその人たちと同じフィールドでやっていくことを決めただけ。 別にサラリーマンがいけないなんて思わない。 その企業や、仕事、職場の人たち、関係者、お客さんを愛しているなら誇りを持って続けた方がいい。 ただ、文句や不満、愚痴は垂らすけど、その課題に対して発案したり改善したり責任を負おうとしないのなら辞めちまえ。


これからは教育に関わる仕事をする。 学生の頃、いやいやではあったけど勉強はそれとなくやってきた。 それが今になってすごく役に立っている。 『なぜ勉強しなければいけないのか?』 という問いに対して一つの答えがある訳ではないと思う。 将来医者になりたいのであれば理系や語学を勉強しなければいけないってなるけど、何になりたいかわからない子には勉強する意味なんて見えてこない。

でも数学や国語を勉強すること自体が大切なんじゃなくて、物事を続ける習慣だったり、どういうふうに取り組めば効率よくインプットできるか、相手にうまく伝えられるかを経験することが重要なんやと思うんよね。 もちろん知識的にも充実すれば、英語であればいろんな人と話せるようになるし、理科なら病気の時に対応できるし、いろんな場面で自分の人生が豊かになるし人の役にも立つことができる。

勉強は、考える力だったり、判断力、忍耐力、継続力・・・上げ出したらきりがないくらいに知識以外のことも学ぶことができる。

若くしてスポーツで成果をあげている人たちはそれらの能力が同世代と比べて比較的高いと思う。 イチローとか本田圭介もそうやったんやろう。なんとかそれを今の学生達に伝えたい。

勉強するなんてホンマにだるいし、やりたくないし、遊びたいし、寝たいっておれも学生の頃思ってたけど、でもやってて良かったよ!って十年後に多くの生徒が言ってくれると嬉しいな。

塾長本当にありがとうございました。 そしてお疲れさまでした。 どうかゆっくりおやすみください。 あとは俺に任せてください。

2013/04/16

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